吉原探索:LIFE

風情

先日、ロンバケさんと吉原を探索に行って参りました。
時間も早いせいもありネオンが煌々とたかれている夜の情緒は味わえなかった物の。
それはそれでそこはかとなく廓の雰囲気も楽しめて…おもしろかった。
今日はつらつらと吉原のことでも書こうかしらと思う。

  • 街の匂い

これは本当の匂いのこと。雰囲気と言ってもいいのかもしれないけれど…昼間の吉原はすでにほとんどの店が営業しているのでとてもいい匂いがする。各お店の浴槽と洗い場(仕事部屋)からやってくる、家庭のお風呂のような匂い。狭い路地に入ると尚の事、換気扇から石鹸のいい匂い。色町にありがちな下水くささが全くなくて気分がよかったわ。

  • 男衆

昔は妓夫などと言ったのだろうけども、店の前には男が一人ずつ立っていてなんとなく街を緊張させているような…吉原では客引き・ポン引きの類は全て禁止。呼び込みのできない男たちはスーツで入り口に無言で立っているの。凄然と男たちが狭い間口の店の並びに立っているのは圧巻だったわ。だって、ねえ。みんないかにも水商売然としているでしょ?若い男の子でも何か凄みを感じるものよ。そして客が一歩でも入り口に立ち寄ったら、どこに隠れていたのか店の中からも男衆がわらわらと出てきて、風体に似合わない丁寧な接客をするのね。店の前に立っているのは何も男衆だけではなくて「ああ、しなくてもいい経験をしてきたのでしょうね」と思われる、おじいさんやおばあさんも立っている。同じく水商売の水に馴染んだわたくしは、そんな方たちに「おはようございます」と挨拶をされるのでおもしろくてしょうがなかった。どの時間でもどの場所でも、水商売は「おはようございます」なのねえ。

  • 料金

ソープランドというのは、あくまで保健所への届出上は「高級銭湯」。なので着衣の女性の写真しか出せないし、料金も性交渉を含むサービス料抜きでの最低料金しか看板には表示されていない。つまり、看板の料金はチャージみたいなものか…看板に出ている限りの最高額は3万円程度。中に入れば諸々でいいところだと8万〜10万するところもあると、男衆の話。長屋のような店がぎゅうと立ち並んでいる路地では、8千円というところも。「…これはヘルスの類かしらねえ?」とロンバケさんと立ち止まってようく見てみると、ちゃんと「入浴料」と書いてある。まあ、どんなおねえさんが出てくるのかしら、としばらく話に花が咲く。昔で言う大見世の位置に並ぶ高級店の前には、ベンツ・BMWセルシオ・クラウンと高そうな、怖そうな車が並んでいて。運転手はヒマそうに煙草を吸いながら店の男衆と話している。主人が出てくるのを待っているんだろう。それにしても、ああいう世界にある車は黒か白が多いわね。特に黒いクラウンが多かった。

  • おんなのひと

女性は全くといっていいほど歩いてなかったのだけど、たまに出勤と見受けられる女性はみんな何だか老けていて…ぎすぎすした雰囲気の、あまりかわいらしい人たちではなかったの。それもそのはずで、売れっ子の高いおねえさんたちはタクシーで店の前へ直付けするのよね。歩かないから、姿が見えなくて当然だわ…街の中にはソープランドだけでなく「女性専用ホテル」というのもけっこうあり。ここは帰れなくなった女性が泊まるだけのものではなく、フリーでホテトルみたいなことをしてる女性たちが長期で契約しているところが多いようなのね。中には産婦人科と性病科が併設しているホテルもあり、ああ吉原だわあ…と思ったのでした。